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【要約】一流の男だけが知っている 賢いスーツの買い方 賢いスーツの買い方―一流の男だけが知っている しぎはらひろ子

一流の男だけが知っている 賢いスーツの買い方

賢いスーツの買い方―一流の男だけが知っている

しぎはらひろ子

要約

ビジネスの第一印象において、スーツなどのファッションが与える役割は大きい。また、ビジネススーツとは本来、仕事相手に対する敬意を服装で示すものだ。しかし、どんな場面で、何をどう着こなせばよいかは、特にファッションにさほど興味がない男性にとっては大きな悩みの種である。本書は、そんなビジネスシーンでのファッションをめぐる、ほぼ全ての悩みを解決できる一冊だ。
著者曰く、ビジネススーツにおいてはトレンドやセンスは不要で、ベーシックな「ルール」を知るだけで「仕事ができる」印象の着こなしができる。しかもそれらはスーツ量販店や百貨店でリーズナブルに実践できるのだ。そこで本書では、あらゆるビジネスシーンに対応できるスーツの揃え方から、シャツやネクタイ、靴などの小物の買い方、ネクタイなしの「ジャケパン」スタイルまで、世界で通用するルールを徹底解説する。

著者は日本ベストドレッサー賞選考委員などを務めるファッションプロデューサーで服飾戦略家のしぎはらひろ子氏。これまでアパレルスタッフやスタイリスト、経営者、医師、弁護士など8万5,000人以上に服飾指導を行ってきた、ファッションをロジカルに説明できる専門家だ。ビジネススーツの選び方に毎回悩む方や適当に済ませてしまっている方はもちろん、より好印象を与える着こなしを知りたい方はぜひご一読いただきたい。

要約

ビジネスマンに必要なスーツはこれだけ

ビジネススーツの装い方には、ベーシックな「ルール」(国際プロトコール)がある。「第一印象で、できる男に見えるスーツを着たい」と考えるならば、「おしゃれ」ではなく、まずは基本の正しい装い方を学ぶことが大事だ。「ルール」を逸脱しない、清潔できちんとした装いをしていれば、それだけで「仕事ができる人」「頼りになる人」に見えるのだ。

では、どんなスーツを、何着持っていれば、あらゆるビジネスシーンに対応して、「仕事ができそう」に見せてくれるだろうか。私は目安として、日常に着るスーツにかけるお金は「年収の3%で3着」と伝えている。年収 500万円ならば、15万円で3着のスーツだ。

フォーマルやクールビズなど、特別な場面を除けば、毎日スーツを着る人でも3着あれば着回すことができる。スーツの色は、本や雑誌などでは「紺とグレー」の組み合わせを提案しているものが多いが、私は、あえて紺だけで3着用意することをおすすめする。

理由はいくつかあるが、一口に紺(ネイビー)といっても、生地の色だけでなく、織り方や素材の違いなどによって印象が異なるから、毎日着まわしていても、「あの人、いつも紺のスーツだよね」と思われることはまずない。

また、一色にすることでコーディネートに統一感ができることが重要だ。2色を着回すと、ネクタイはそれぞれに応じたものを毎朝選ばなければならない。その点、紺で統一しておくと、ある程度のバリエーションを用意しておけば、どのスーツにも使うことができるのだ。

予算内でのスーツの選び方

15万円の予算で3着スーツというと、「5万円のスーツを3着」と考えるかもしれないが、ビジネススーツで大切なことは勝負スーツを用意しておくことだ。そこに生まれる自信が、あなたを「仕事のできる力と品格を備えた特別な人」にしてくれるのだ。具体的な3着の揃え方は次の通りだ。

 

(1)7万円の勝負スーツ
百貨店の既製品(ただしパターンオーダーでお直しはしっかりしてもらう)。濃いめの黒に近い紺(ダークなミッドナイトネイビー)、シャドーストライプに織られた素材のスーツ。

 

(2)5万円のイージーオーダースーツ
スーツ量販店のイージーオーダー。一般的な紺(ミディアムネイビー)で、ピンストライプが入ったもの。

 

(3)3万円の量販店の既製品スーツ
スーツ量販店、2プライスストアの既製品、価格が2万9,800円前後のスーツ。色はミッドナイトネイビーかミディアムネイビーでキメ細かく光沢がある、イタリア製やイギリス製の素材で無地のもの。職種によってはウォッシャブルなどの高機能素材のもの。

紺にも実はさまざまな紺があり、一番フォーマルな紺が、ミッドナイトネイビーだ。限りなく黒に近い紺で、三ツ星レストランでの会食、冠婚葬祭など格式の高い場にも対応できる。それに対して、やや明るめでありながら、十分ビジネスの場で着られるのが、ミディアムネイビーで、明るすぎず濃すぎない中間的な紺、どんな相手でもリスペクトを表現できる「万能の紺」と言ってもいい。

避けたいのは、明るすぎる、青に近い紺。軽薄な印象に見えるだけではなく、シャツやネクタイとのコーディネートも難しくなる。生地については、特に紺には少し光沢がある生地が合う。上質な素材には「ぎらぎら」ではなく「つやつや」な光沢がある。

いい生地を見極めるためには、現物に触れるしかない。また、スーツはブランドやメーカーごとに、同じサイズ表示でも、肩幅、袖丈、着丈などに違いがあるから、いきなりスーツを買いに行くのではなく、まずは徹底的に試着してみよう。

百貨店で7万円の勝負スーツを買おう

百貨店で買うべき勝負スーツは、ミッドナイトネイビーで、シャドーストライプのもの。それを明確に販売員に伝え、さらに、「予算は7万円で」「ビジネススーツのルールに則っていて」「仕事ができそうに見えるスーツがほしいです」と伝えよう。

ビジネススーツのいちばん重要なポイントは、何よりもサイズで、あなたの体にぴったりとしていることが大事だ。今回あなたが買う勝負スーツは、7万円もするものだが、そうはいっても既製品だ。既製品のスーツは、「だいたい合っている」サイズを、「ぴったり合っている」サイズに調整して着るものである。

パンツの裾、ジャケットの袖丈はもちろん、パンツ、ジャケットともにウエストのお直しくらいは当然で、さらに肩幅、胸囲のお直しが必要な場合もある。徹底的な採寸とお直しで、あなただけのスーツが出来上がるのだ。販売員は採寸をしながら、色々質問をしてくれるかもしれないが、「ルールに則った、ベーシックなサイズで」と伝えれば十分だ。

スーツ量販店で5万円のイージーオーダースーツ、3万円の既製品を買おう

イージーオーダーとは、何百種類もの「型紙」の中から、その人にいちばん合う「型紙」を指定し、補正してつくるものだ。補正は工場で対応可能な範囲に限られるが、生地や柄を選ぶことができるし、何よりも5万円程度で体に限りなくフィットしたサイズのスーツが手に入る。

いくつものスーツ量販店がこのイージーオーダーに進出しているから、3着のスーツを持つのなら、1着はぜひイージーオーダーにしてほしい。買うのは、一般的な紺(ミディアムネイビー)のピンストライプだ。予算が決まっていると選べる生地の種類は限られるが、5万円のイージーオーダーの生地はどれも十分な品質だ。

こだわるべきなのは、何よりも体にフィットするサイズのスーツだ。あなたに合うシルエットを販売員に聞いてみよう。採寸の際には、「僕の体にかぎりなくフィットするサイズでお願いします」と伝えよう。販売員は「ゆったりでもなく、ぴちぴちでもない、ぴったりのスーツがほしいんだな」とわかってくれるはずだ。

イージーオーダーの特徴は、さまざまなオプションが用意されていることだが、裏地の基本は、表の生地と同じまたは同系色で、表と裏の色の差が少ないこと。ジャケットポケットのデザインでは、フラップポケットや、スラントポケットがベーシックだ。ボタンの素材にも種類があるが、高級感を出せるのは水牛ボタンで、スーツと同系色のボタンを選ぶとよいだろう。

次に、スーツ量販店のいわゆる2プライススーツのうち、2万9800円前後のスーツを買おう。伝えることは、「予算は3万円くらいで」「ビジネススーツのルールに則っていて」「仕事ができそうに見えるスーツがほしいです」と、「ミッドナイトネイビー(またはミディアムネイビー)の無地のものがほしいです」、これだけで最低限伝えるべき情報は販売員に伝わる。

何着かに絞り込んだら、それぞれを試着する。肩幅と胸の厚みのサイズにはこだわろう。スーツ量販店で既製品のスーツを買うことは、あるものの中からできるだけ自分の体型に近いものを選び出す作業だ。会話をすることで販売員の力を引き出し、サイズだけにこだわれば、いままでとは違う豊かな買い物ができるだろう。

コーディネートを左右するネクタイ、靴などの選び方

紺のスーツに白か淡いブルーか淡いピンクのシャツ。ここまで揃えても、ネクタイ選びに失敗すると台無しになる。例えば、毎日ネクタイを着用し、仕事中はずっとスーツを着ている(制服に着替えない)人ならば、私が提案するネクタイは、デイリーの5本(5,000~7,000円)、勝負用の1本(2万円前後)、謝罪用の1本(5,000円前後)、葬儀用の1本(5,000円前後)の、計8本だ。クールビズなどを除けば、これだけあれば十分に毎日の着回しができる。

勝負用の1本は、ワイン系かブルー系の無地か小紋柄、シルク100%のものをおすすめする。ミッドナイトネイピーなどのダークスーツと、無地や小紋の光沢ある上質な勝負ネクタイの組み合わせは、スーツの着こなしの中でも最上級で、どんなドレスコードにも対応できる。

ネクタイの色は、ビジネス用であれば、ワイン系とブルー系で揃え、原則として、ピンクのシャツにはワイン系、ブルーのシャツにはブルー系と、同系色で合わせる。白のシャツにはどちらもOKだ。

また、スーツがベーシックな紺系で統一されていると、選ぶべき靴も絞り込まれる。濃紺のスーツに合わせる場合、黒のストレートチップがフォーマル度が高い。2足目は暗めの茶色の靴を買うことをおすすめする。交代で履くことによって、日々印象が変わるだけでなく、靴の寿命も長持ちする。そして、それぞれには、同系色のベルトとバッグを用意する。

スーツの足元から見える靴下の色は、スーツと同色、もしくは同系色が基本だ。靴下にまで気を配って、はじめてビジネススタイルが完成する。靴下のベーシックな「ルール」は、ひざ下までのロングソックスで、すね、すね毛が見えないようにするのがマナーだ。「真夏にロングソックスは暑い」という声が聞こえてきそうだが、素材を変えれば解決だ。柄物、色物、かかとやつま先だけ色がついたもの、ワンポイントが入ったものなどは、すべてNGだ。

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日本人が洋服を着る歴史は欧米諸国よりはるかに浅く、スーツの着こなしも、欧米諸国のように、当たり前のルールが守られているレベルに到達しきれていない面がある。だが私は、日本人男性は本来、世界で一番おしゃれなのではないかと思っている。例えば、戦国時代の甲冑は、衣装的見地からも世界的に高い評価と称賛を受けている。

戦時にも身を整えたかつての日本男児のようにビジネススーツを身に着けてみてほしい。服は雄弁だ。一瞬であなたの人となりだけでなく、将来の夢や、やりたいこと、なりたいことを相手に伝えてしまう。そしてそれが「信頼」「品格」となるのだ。(了)

 

 

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