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【要約】日本一稼ぐ弁護士の仕事術 著者 福永活也

日本一稼ぐ弁護士の仕事術
 

日本一稼ぐ弁護士の仕事術

著者
福永活也

 
 
要約

 「日本一稼ぐ」とはストレートなタイトルだが、本書は稼ぐことを第一の目的とする本ではない。ただし著者は弁護士として独立1年目から2年連続して年収5億円を突破、「日本一稼ぐ弁護士」となった人物だ。本書では現在複数の事業を手掛け、さらには冒険家としても活動するなど、単に「稼ぐ」を越えた著者の仕事術・仕事哲学を解説する。
 著者は地方出身で裕福でもなければ特別のコネがあったわけでもなく、就職した会社も2ヵ月で退職、24歳までフリーターとして過ごしていたという。その後一念発起して司法試験に合格、5年目で独立を果たした。その仕事哲学の根幹はシンプルで、才能や能力がないからこそ、「誰でもできることを、誰よりとことんやり続ける」というものだ。

 「今日から3年間、一度も『忙しい』と言わずに生活する」「スピードと時間量を武器にする」など、一読すれば、その徹底した自身の哲学の実践ぶりに驚かされるとともに、仕事や趣味、人生にも応用可能な考え方やノウハウを多く見つけることができるはずだ。仕事や資格、趣味などで新たな挑戦をしようとしている方はぜひご一読いただきたい。

要約

「ドリアンようかん」は好きですか?

 仕事に限らず、熱中できるものがない、やりたいことがないという相談を受けた時に、私はよく「ドリアンようかんは好きですか?」と質問する。すると、ほぼ全ての人が「好きでも嫌いでもない。食べたことがないからわからない」と答える。

 逆に「好きな食べ物はなんですか?」と聞くと、人それぞれ、「焼肉」などと答えてくれる。ここで伝えたいのは、過去に一度でも食べたことがある物について初めて、好き嫌いが生まれるということだ。

 これは、仕事や他の物事についても同じことが言える。どんなことでも経験してみないと好きか嫌いか、好きになりそうか嫌いになりそうか、判断できるはずがない。私は、弁護士の枠に留まらず、不動産業、レストラン経営、人狼ゲーム店舗経営、モデル事務所経営、ファッション事業経営など、次々と新しいことに挑戦しているが、どれも最初は全く経験のない分野だったが、挑戦してみると楽しいものばかりだった。

 このように、熱中できるものを見つけるためには、まずは試しに色んなことを経験してみる必要がある。つい「好きじゃないからやらない」、と言ってしまいそうだが、それは当たり前のことで、経験したことがないものを好きであるはずがないのだ。

今日から3年間、一度も「忙しい」と言わずに生活する
 私は後輩や友人から「成功する秘訣は何ですか?」と聞かれると、今日から3年間、一度も「忙しい」と言わずに生活してみてください、と答える。なぜなら、何か新しい挑戦を断る理由として最も多いのが「忙しい」という理由だからだ。26歳の秋にこのことを思いついて以来、私は何かを拒否する理由として一度も「忙しい」という言葉を口にしていない。

 私が弁護士1年目で入所した法律事務所は、当時で 100人近い弁護士が所属しており、同期も6人いた。そこではパートナーと呼ばれる経営者側の弁護士がとってきた仕事を勤務弁護士であるアソシエイトに振っていくのだが、他の同期の弁護士は、自分の仕事の状況や手持ちの業務量を確認して、余裕がある場合のみ「参加させてください」と答えていた。

 しかし、私はこれに、まず「やります」と返事をした上で、どうやって時間をやりくりしようか考えていくようにしていた。すると、活動時間そのものを増やすことを考えたり、時間の効率化を図ったり、時間を最大活用化できるようになっていく。私が担当する案件は結果的にどんどん増えていき、2年目に入る頃には、同期の弁護士の2倍程度の仕事量をこなすようになっていた。

 「忙しい」という便利な断り文句がなくなれば、とりあえずやってみるという選択をすることが多くなり、とりあえずやってみる習慣がつくと全てに対して「Yes」から入ることになり、世界がどんどん広がっていく。そして、こういう姿勢は、必ず周りの人に伝わり、「あの人はいつ誘っても気持ちよくYesで応えてくれる」というイメージがついていくのだ。

スピードと時間量は誰でも持ち得る武器である
 仕事を発展させるためには新たな挑戦が不可欠であり、新たなことにどんどん挑戦していくためには、時間の効率化が必要になる。そこで私は、スピードや時間量を追求することは、新人であっても、特別なスキルがなくても可能であるという前提をよく意識していた。

 深い専門性や最先端の知識で勝負しようと思えば、キャリアの長い弁護士には中々勝てないが、スピードであれば勝つことができるかもしれない。例えば、基本的に24時間いつでも全てのメールに1時間以内に返信した。深夜であっても、メールが携帯に転送されてきたことがわかると、少し目を覚まして内容を確認し、必要によってはパソコンを立ち上げて返信していた。

 深夜にメールの対応をするといっても、せいぜい週に1、2回あるかないかであり、その都度5分から 15分の時間をかける程度のものだ。しかし、私にメールをしてくれた相手からすれば、その1回の連絡に対して即座に返答が来ると、365日 24時間体制で活動しているかのように錯覚してしまうのだ。これは、小さな手間で大きな評価を得られて、とてもお得だ。

 そして、スピードにこだわって仕事をすると、自然と手元に留まっている進行中のタスクは減っていく。結果としていつでも余裕をもって機動的に考えて動けるようになり、本当に深い専門性や幅広い知識経験がある人の仕事に匹敵するような仕事ができるようになっていくのだ。

本来の締切期限を考えず、今を起点に作業を開始する

 仕事のスピードを上げるのに一番大切なことは、全ての新しいタスクについて、今を起点に作業を開始するということだ。例えば、ある業務について、締切期限が 10日後で、その業務には3日程度要するという場合に、期限の5日前くらいから始めれば余裕をもって終われるなどと計画するのではなく、今から3日以内に終わらせようと考えることが大切だ。

 なぜなら、締切期限までに終わらせればいいと考えていると、期限が迫るまでは業務に取り組む意識が薄くなり、いくら時間に余裕があっても業務に熱中しにくくなってしまうからだ。その割に、いざ作業をしようとすると想定外の予定ができたりして、十分な時間を確保できなくなるといったことは誰もが経験したことがあるはずだ。

 また、実際に早く作業を開始して、少しでも早く成果物を上司やクライアントに上申すると、上司やクライアント側も作業時間を長く確保できるようになって喜ばれるし、もし成果物が不出来だった場合にも修正の時間が確保でき、仕事の質も維持しやすくなる。さらに、いつも早く業務を終わらせていると、納期の短い業務も振ってもらえるようになる。

 これは人生においても同じだ。いつか試そう、いつか挑戦しようと思っていたら、絶対に真剣に取り組むことはできない。だが今を起点に挑戦すれば、今、この現在に熱中してやる気を持って楽しく取り組むことができるようになるのだ。

24時間全てを活動時間に充てる

 趣味、プライベートを含めて人生を充実させるための考え方についても、仕事と同じく、新しいことにいろいろと挑戦して、今を楽しんでいくことが大切だ。そのためにはやはり「忙しい」と言わないこと、心身のフットワークをいかに最大化するかが重要となる。

 私はフットワークを軽くする大前提として、1日24時間のうちどの時間帯でも予定を入れるようにしている。もちろん24時間をフレキシブルに活動時間に充てるということであって、ずっと寝ずに活動するという意味ではない。

 法律事務所に所属してそれなりの激務をこなしていた時も、出社する前に始発で築地に行ってお寿司を食べたり、ランチ時間帯に職場が近い友達と集まって1時間のランチ会をしたり、深夜に声がかかれば起きてシャワーに入ってから出かけたりなどしていた。

 翌日に備えて体調を整える必要もあるが、深夜に出かけるといっても、何日も連続するわけではないから、たまに寝不足の日があってもいくらでも乗り切れる。逆に、翌日に仕事がある日は早めに帰宅するという生活をしていたら、仕事をリタイヤするまでの期間の7分の5は体調を整えて終わってしまう。これでは何も世界が広がらない。

 また、大きな予定が入ると、その日は他の予定を入れないという考えもあるが、私は、例えば、東京マラソンを完走した後、そのまま羽田空港に移動して旅行に行くぐらいのことは普通にしている。飛行機の移動であれば寝ているだけで良く、何も凄いことはないのだ。

 1日24時間の隅々まで予定を入れる習慣を持っていると、そう簡単に人からの誘いに対して、都合が悪いと返答することはなくなる。その結果、受けられる誘いは増え、必ずフットワークが軽くなっていく。

 また私は、人から何か誘われた時は、内容を聞かずに OKするようにしている。なぜなら、内容ではなく、誘ってくれた人と時間を共有できるからこそ参加したいと思っているからだ。そして、誘いに対して即断即決で OKすることで、その思いを行動で伝えることができる。

 逆に、どんな内容なのか、メンバーは誰か、予算はいくらか等と散々聞いた挙句、やはり都合が悪いと断るようなことがあれば、まるで相手のことを値踏みしているようだ。私はもし時間的に合わなくても 24時間のうちで可能な時間枠を全て提案するようにしている。

仕事と趣味の区別を設けない

 仕事も趣味やプライベートも、結局は人生を楽しむ一つのツールに過ぎず、本質的な区別はない。物事に対して、仕事なのかそれ以外なのかで区別する考え方は、人生を連続性のないコマ単位で考えており、価値観や哲学の統一性がないように思う。

 確かに会社員だと、会社の指揮命令下にあれば仕事で、そうでない場合はプライベートだと、形式的に区別しやすいかもしれない。だがそのような区別は、会社への従属性を前提に考えた受け身の姿勢だ。

 全てのことを全力で熱中して今の楽しみを大切にしていくと、仕事とそれ以外の区別はなくなっていく。だから、私自身としては、今やっていることが、仕事なのか趣味なのかをはっきりと区別できるうちは、まだまだ熱中の域には到達できていないと考えるようにしている。

 これからの働き方はワークアズライフ(生活や人生の一部として仕事の要素が含まれている)に変わっていく。これは随分前からいろんな人が言っていることだが、これからみんなで作り上げていく働き方だ。それを一緒に考え、楽しみを共有できる人を探していきたい。

 



 

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