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【要約】LEADER’S LANGUAGE 言葉遣いこそ最強の武器

『LEADER’S LANGUAGE(リーダーズ・ランゲージ) 言葉遣いこそ最強の武器』

LEADER’S LANGUAGE 言葉遣いこそ最強の武器

 

 

「序列第一」が強く根づいている環境では、常識が歪められるような事態が起きても不思議ではない
言葉の使い方を変えることで、自分が率いる潜水艦の評価を最低から最高に引き上げ、ベストセラー『7つの習慣』の著者、コヴィー博士から絶賛された伝説の艦長が『LEADER’S LANGUAGE(リーダーズ・ランゲージ) 言葉遣いこそ最強の武器』を上梓した。


あらゆる組織のリーダーに役立つ、伝え方のパラダイム転換を促す本書から、上司に都合の悪い情報が流れない、風通しの悪い組織の問題点を抜粋・編集してお届けする。

上に気を遣う「序列第一」がもたらす問題
「安全第一」を掲げる組織は多いが、本書で紹介した石油プラットフォーム作業員たちのように、人々は、安全よりも序列を重視した「序列第一」の行動をとりがちだ。

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恐怖心をみくびってはいけない。「統制と遵守」が強く根づいている環境では、恐怖心によって常識が歪められても不思議ではない。

「疑問を持たず、命じられたとおりに行動せよ。そうしなければ深刻な事態に陥る」と繰り返し徹底して刷り込まれれば、その組織で働く人々は、何をするにも、その基準に合った行動かどうかを確認するようになる。

そして疑問を持つたびに息が詰まりそうになる思いをしていれば、しだいに自ら行動を起こすことなどなくなっていく。

他者の仕事を決める立場にある人は、その人たちと一定の距離を保つ必要がある。つながりが生まれると、生産性が損なわれる恐れがあるからだ。

序列の構造化が細部まで確立し、厳格な規則を設けて、馴れ合いをよしとしない職場環境は数多い。海軍もそのひとつに該当する。規則を設けている目的は、仕事の割り当てや昇進に友情が影響しないようにするためだ。

 

これまた、本書でたびたび登場する、フレッドが抱える問題のひとつだ。チームリーダー、すなわち思考を担う青ワーカーであるフレッドの職務は、彼が決めた作業を実行する仕事(赤ワーク)をメンバーにさせることだ。

赤ワーカーが自ら決めたわけではない作業に取り組ませなければいけないので、フレッドは「強要」を実践することになる。それなら、フレッドとしては、赤ワーカーたちと距離を置いたままでいるほうがいい。彼らのことを深く知るのは避けたほうがいい。

フレッドは日がな一日、こうして自らの人間性を否定し、意思決定者(青ワーカー)という役割に自分を同化させているのだ。毎日がそれでは、落ち込んで帰路につくのも無理はない。

本書で私が提唱する「垣根を越えてつながる」プレーは、そうではなく、他者を気にかけることである。他者が何を考えているのか、どのように感じているのか、個人的な目標は何かを気にかけることだと思えばいい。

権力ある立場から判断を下すのではなく、隣に並んで応援する立場をとるのだ。


「垣根を越えてつながる」4つの方法
「垣根を越えてつながる」プレーの方法は4つある。

1.権力の勾配を小さくする
2.知らないことは知らないと認める
3.弱さを見せる
4.自分が先に信頼する
ここでは、方法1の、「権力の勾配を小さくする」について検討しよう。

権力の勾配の尺度となるものはいろいろある。給与額、オフィスの広さ、絨毯の厚さ、専用の駐車場や食堂といった物理的な区別、特定の会合への参加権、座る位置(いちばん偉い人からの距離)、アシスタントの数と能力の高さ、発言が許される時間、遅刻の許容、つまらない冗談を言ってまわりが笑うかどうかなど。

もっとわかりづらい尺度もある。それは会議の場で多く見受けられ、たとえば、誰が議長を務めるか、誰が議論をまとめるか、誰が行動を割り当てるか、といったことだ。

 

権力の勾配が大きいところでは、「一歩ずつ」のやりとりに限定される。指揮系統を飛び越えることは、社会的にも序列的にもタブーとされている。

2003年にスペースシャトル「コロンビア」の悲劇が起きたとき、リーダーたち(彼らは、1986年に起きた「チャレンジャー」の悲劇を通じて、自由にものが言える文化を築いてきたと自負する人々だ)は行動を起こさなかった。

デブリ(ロケットの残骸など地球の周囲に浮遊する不要となった人工物)評価チームのリーダーを務めたロドニー・ロチャは、発射時に「コロンビア」が被った損傷が致命傷であると証明するための調査を行わないとの上層部の決定に異を唱えるメールを書いた。だが、送信はしなかった。

その理由を尋ねられた彼は、指揮系統を飛び越えたくなかったからだと答えている。

このようなことは組織でよく起こるが、それは、コミュニケーション、命令、情報をすべて同じように扱うからにほかならない。理想を言えば、命令は指揮系統に従うべきだが、情報は組織全体を自由に流れることが望ましい。


上司に送るメールに都合の悪い情報を書けるか
権力の勾配は、情報の検閲と正比例の関係にある。権力の勾配が大きい会社の社員は、情報を慎重に検閲したうえで上司とやりとりする。

悪い知らせを排除したうえでメールの文面を組み立て、上司から何か提案があれば、いいと思ったにせよ、悪いと思ったにせよ、沈黙を保つ。そして、良し悪しが勝手に証明されますようにと祈る。

権力の勾配は真っ先に感情に訴えかけてくるので、強大な権力を持つ人しだいで、権力を持たない人に自らの価値を実感させることや、強大な権力を持っている人々と対等に近づいたと感じさせることができる。そうなれば、権力を持たない人々が率先して口を開くようになる。

だからこそリーダーは、権力の勾配に敏感になり、自ら勾配を小さくすることに努めなければならない。

権力の勾配が大きいと、立場が上であると知らしめる必要があると言わんばかりに、上司があからさまに権力を振るうことがある。そういうときは、次のような表現がよく用いられる。

❖「ここでいちばん偉いのは私だ」
❖「私がそう決めた」
❖「ここは私の会社だ」

資格や経験年数の強調もまた、権力の勾配をまわりに知らしめるために使われる。

❖「ここには君より私のほうが長くいる」
❖「私は〇〇大学の出身だ」
❖「私は認定された技術者だ」
権力の勾配については、大きくするのではなく小さくすることに努めるべきだ。それには次のような行動をとるといい。

・物理的、感情的を問わず、分断するのをやめて、垣根を越えたつながりをつくる。
・誰かに対して、あるいは誰かのために何かをするのではなく、誰かと一緒に何かをする。
・権威を強化するのではなく、権威を弱める。
・批判ではなく、観察したことの描写を心がける。

権力の勾配を小さくするための言葉
例をあげよう。まずは、よくない言い方だ。

❖「君に決めてもらう必要がある」(決断の押しつけ)
❖「これは君にやってもらわないと」(決断の代行)
これは、次のような言い方に変えてみてほしい。

❖「これについて一緒に決めてもらいたい」(決断の共有)

子供の躾を例にあげると、

❖「ちゃんと靴紐を結ばないなら……」(行動の強要)
❖「さあ、靴紐を結ぶね」(作業の代行)
ではなく、次のように変えるといい。

❖「靴紐を結び終わったら、一緒に出かけられるね」(行動の共有)

次の例ではどうか。

❖「私は黒帯の師範だ。君の資格は何だ?」
❖「私は25年これをやっている。君はこれを始めて何年になる?」
こうした言葉に代えて、次のような発言を心がけてほしい。

❖「ここでは君の意見が重要だ」
❖「君の新鮮な目が新たな視点をもたらしてくれると思っている」
❖「君の経験が、われわれの決断にきっと役に立つ」

 

 

 

 

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