アイデンティティ
アイデンティティとは自己を確立する要素の事である。
その要素が共通のものであるなら「共通点」異なるものなら「相違点」と言い表すことが出来る。
国語等で扱われるアイデンティティの喪失とは自分とは何かと問うとき、要素(アイデンティティ)の集まりであるとして、その要素が無くなると言っている。
意識が芽生えたのは紀元前1000年ごろ?
あり得ません。
意識なしに国家が作れますか?
ここで語られる意識というものが別のものであるということでしょう。
二種類の意識
知覚意識と自我意識の分離。
アバターという存在。
自我意識。 どこで生まれ、何をしてきたのか。個別のストーリー形成にひつようなものです。人生を形作るとも言えるかもしれません。
我々の人生は言葉によって形創られる。
ネットの中では別の人格を演じる。ペルソナを被ることができる。これがアバターである。
二分心
神々の話を右脳で受け取り、左脳で知覚する。つまり、知覚意識。
人類は二分心を一万年前に獲得したと言われる。
人類の生物学上の能力
25万年前からDNA的には人間は変わっていない。
10万年前の人と私たちの脳みそは基本的には変わりません。
だから、10万年前の人を連れてきて10年もこちらの環境で暮らせば難なく生活できるわけです。(難なくは言い過ぎかもしれませんが、生きていくだけならできると思います。)
私たちの祖先といえる現生人類ホモ・サピエンスがアフリカからアジア各地に進出したのが13万年前です。つまり、12万年もの間、ずっと狩猟生活をしていたことになります。ホモサピエンスこの空白の10万年について、本当に何の文明も起こらなかったのか、疑問を持つ研究者は多く、この間に古代核戦争を繰り返したのではないかという考えの根拠になっています。
空白の10万年という期間が我々、人類には存在します。
生物学上の人類が誕生したのは25万年前ぐらい前に誕生しました。
生物上の能力は今の我々と変わらないのです。
この期間は我々と同等の知能を持つにもかかわらず何も技術的発展が起こらなかった期間のことです。
人格はストレスによって形成される
ビリー・ミリガン
ビリー・ミリガン ビリー・ミリガン (1955年2月14日 - 2014年12月12日) は、アメリカ合衆国生まれの男性で、オハイオ州の強盗強姦事件で逮捕・起訴されたが、彼は解離性同一性障害(多重人格障害)を患っていると主張、裁判で多重人格と事件の関わりにおいて注目され、有名になった。日本でもダニエル・キイスの著作によりその名を広く知られた。
大規模共同体での生活が進むにつれて環境に同調しなければならない状況になる。
しかし、自分のしたくないことはしたくないので、人格を消去し、環境に同調できる新たな人格が形成される。
その結果、自我意識が芽生え始める。
集団生活は多くの人にとってストレスがかかる。
それは間違いありません。
それまでは本能の赴くままに好きなように狩りをし、生活してきた人類がそんなに簡単に社会的な生き物になれるとは思いません。
現に社会に適合できず、多くの事件が起きています。
人称代名詞の使い方
うつ病患者には、“私”“あなた”“彼ら”などの人称代名詞の使用頻度に大きな偏りがあることが分かったのだ。
アルモサイウィ氏によると、英語の1人称代名詞、me、myself、Iの使用頻度が統計的に有意に多かったという。つまり、うつ病患者は“私”を中心とした言語使用を無意識のうちに行っており、他者への関心が希薄であるということだ。
1人でうつうつと生活上の問題を考えたり、社会的な孤独を感じることはうつ病のよく知られた特徴であり、1人称代名詞の使用頻度の高さもそのことを反映していると見ることができる。しかし、1人称代名詞の高頻度使用とうつ病の因果関係は今回の研究からは明らかになっていない。つまり、1人称代名詞を使う自己中心的な思考がうつ病を引き起こすのか、うつ病になると自己中心的な思考になるのか、原因と結果の向きが定かではないのだ。
うつ病の人は「私(I、me)」や「自分(myself)」など一人称の代名詞を多く使う傾向にあるようだ。逆に「彼女(she)」や「彼ら(they)」など二人称、三人称を使うことはほとんどしない。
これは自分自身に意識が集中しており、他者とのつながりが少ないためだと考えられている。
これもアイデンティティの確立に関わっていると思われる。
鬱は強いストレス環境に置かれることで発症する。
思考が内側に向き、他社とのつながりが少なくなるため、アイデンティティが形成されていくことになったのかもしれない。
近代小説と古典の違い
近代小説では必ず、主人公の感情が文字に現れます。
また、主人公の感情がわからない作品は基本的に語り部が存在しており、その語り部の感情が文字として現れていることがほとんどです。
しかし、こういった文学は古代においては一般的ではありませんでした。
時代を遡るほど個人的な記述がなくなる。
ホメロスの時代になるとほぼなくなる。
ホメーロスは、紀元前8世紀末のアオイドス(吟遊詩人)であったとされる人物を指す。ホメロスとも。西洋文学最初期の2つの作品、『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられている。古代人はホメーロスを「詩人」というシンプルな異名で呼んでいた。
代表作はイリアス、オデッセイ。
この文学には神々のことが中心で作者の個人的な記述が全くありません。
自分で何かを感じたのか。そういったものが希薄だった。
個々の歴史を持たない。アイデンティティが存在しなかった。
アイデンティティと宗教
日本人にはピンとこない人も多いと思うが、世界には自身の宗教を心の拠り所、いや生きる糧にしている人々が大勢いる。しかし多くの先進国では、2041年までには敬虔な信者がほとんどいなくなっている可能性が濃厚だという。
アイルランドの生物心理学者Nigel Barber博士は、自著『Why atheism will replace religion.』の取材のため、137カ国におよぶ人々の信仰心を調査した。すると特に物資が豊かな先進国に於いては無神論者が増えていることがわかった。また一部の信仰は、次世代を担う子どもたちを集めたいと願う宗教団体による、客寄せ的な要素が強いことも判明した。
各国のGDP、現地価格、人間性開発指数を踏まえて算出すると、これらが平均的である国は2041年までに非宗教化される見込みだと結論付けている。国の経済発展に寄与する大部分の人が無神論者で、宗教は個人的な趣味、価値へと格下げされるのは必至。同氏いわく物質的に豊かになると人は超自然的な力に頼る必要がなくなるとか。豊かさの他にも生活の質の向上、深刻な病の減少、教育や福祉の充実も人々の信仰心を薄れさせるとし、その最たる例として日本やスウェーデンを挙げている。
アイデンティティなら獲得が進んだことによる無神論者の増加は関係があると思っています。
やはり、全体主義の台頭による反動で個々の人間のアイデンティティは膨張していきます。
社会が全体主義に傾いた反動が今日の個人主義的価値観が生まれたからだと思っています。
その結果、宗教という組織に属することに反発する人も突然出てきますし、会社と言う組織にも属さない人々が増え始めました。
これはインターネットの登場とも大きく関係していると思われます。
西垣通先生
私が尊敬する人物の一人です。
先生の本は面白すぎる。そしてとても読みやすい。小説も多数書いています。
私の知的好奇心を満たしてくれる人物です。
情報学から、心理、社会、生物。非常に多岐に渡る知識を持ち合わせています。
近年では学問が非常に細分化され、蛸壺化しています。
専門外のことは全く分からないという学者も少なくはありません。
しかし、今の時代は多くの問題が非常に複雑化しており、一つだけの学問的知見では解決できないことだらけです。
文理を横断的に理解できる人が求められているのです。
その証拠として、近年国立大学では文系の学部廃止が目立ちますが、その代わりとして文理融合学部が多く誕生しています。
慶応大学の総合政策学部、環境情報学部。通称SFCのような多岐にわたる学問的な知識を身に着けている人を育成することが重要にとなっている証拠です。
日本の偉大な物理学者南部陽一郎先生は物理学だけでなく、流体力学や超電導などの現象を観察し、アナロジー(類推)を常に考えていました。
多くの分野に精通していたからこそ我々の世界を構成する重さの正体を解明できたのです。