- きっと何者にもなれないお前たちに告げる!
- 輪るピングドラムとは?
- 評価・感想
- 生存戦略とは
- 箱とは何か?
- 被害者家族と加害者家族
- 高倉家
- こどもブロイラーとは
- 日本の学校はまさに子どもブロイラー?
- 子どもの生存戦略って何なんだろう
- 罪は理不尽じゃなきゃね
- 地下鉄サリン事件について
- 人は愛に飢えている
- ピングドラムとは命
- 見た後は気持ちが落ち込むので注意
- プライムビデオにウテナと一緒に登場う!見るべし見るべし!
きっと何者にもなれないお前たちに告げる!
きっと何物にも慣れないお前たちとは誰の事?
( ゜□゚)<せいぞん、せんりゃくうううううううう!!
え?は?
一体生存戦略とは何のことなのか。
ピングドラムって?そんなわけわかめのストーリーが如何にも幾原監督っポイですよね。
輪るピングドラムとは?
輪るピングドラム(まわるぴんぐどらむ)
不治の病で死んだ妹・高倉陽毬(ひまり)の命を助けるために
ペンギン帽子(プリンセス・オブ・ザ・クリスタル)に命じられるまま
正体のわからない「ピングドラム」を探す高倉冠葉(かんば)と高倉晶馬(しょうま)。
兄弟たちの運命をかえる物語。
評価・感想
★★★★★
文句なしの星5つ。
幾原監督の作品である、少女革命ウテナ、輪るピングドラム、ユリ熊嵐の中で最も私が好きな作品です。
演習に関してはイクニ節満載。まるでおとぎ話の舞台を見ているような演出は、相変わらず素晴らしい。
また、この輪るピングドラムはイクニ作品の中で一番話が重い作品です。
前半のパートと後半パートでガラッと変わるので、12話までは長島でもいいですが、後半からはちゃんと見ないと理解できないでしょう。
生存戦略とは
有名なのは「生存戦略、しましょうか」の一言。
劇中でもペンギン帽子(プリンセス・オブ・ザ・クリスタル)を被った陽毬が
「生存戦略ぅーーーーー!!」と叫ぶシーンが最も知られているのではないだろうか。
生存戦略とは一体何のことなのか?
それは生存戦略のシーンを見ていただくのが一番わかりやすいだろう。
このシーンは何を表しているのだろうか。球体に向かってロケットが発射される。心電図のような脈拍は生命を意味し、ドッキングはつながりを表す。白い熊と黒い熊精子と卵子である。そして、陽毬は服を野球拳のように徐々に脱ぎながら冠葉と晶馬に向かってくる。
要するに生殖ということです。それは命を紡ぐむ儀式のようなものです。
箱とは何か?
君たちは決して呪いから出ることはできない。
僕がそうであるように、箱の中の君たちが何かを得ることなどない。
この世界に何も残さず、ただ消えるんだ。
塵一つ残せないのさ。
君たちは絶対に幸せになんかなれない。
「僕、幾原邦彦監督のファンなんですけど、アニメ『輪るピングドラム』に
「世界は幾つもの箱だよ。人は体を折り曲げて、自分の箱に入るんだ。
ずっと一生そのまま。
(中略)だからさ、僕は箱から出るんだ。」
というセリフがあります。
いますべきことは、標準化という「箱」を壊していくことなんです。
かつては、根性論によって「箱」を壊していましたが
今はテクノロジーの力によって 「箱」を壊していくことができる時代に突入しているんです。」by落合陽一
箱とは常識であり、世間体であり、標準化された世界の掟のことである。それはまるで呪いのように人々を苦しめ、死に追いやるのです。
呪われた子供たちの罪と罰。
そして家族の祝福と愛を描いたすごいアニメです。
被害者家族と加害者家族
この物語には二つの軸が存在します。高倉家と荻野目家です。
高倉家
高倉冠葉(かんば)、高倉晶馬(しょうま)、高倉陽毬(ひまり)三人兄弟。
劇中の地下鉄事件の実行犯は冠葉と晶馬の父親であり、殺人事件の犯人の子供たちであるということである。
事件から数年後、両親が実行犯であったことが世間に知れ渡ってしまう。子どもたちもそこで初めてその事実を知ることになる。
それをきっかけに父親と母親は失踪、冠葉と晶馬と陽毬は3人だけで暮らすことになります。
貧しいながらに幸せに暮らしていた3人ですが、数年後に突如、陽毬に不治の病が見つかり、陽毬は死んでしまう。
しかし、陽毬は冠葉と晶馬の本当の家族ではない。
実行犯であることを知られるまで一緒に暮らしていたのが晶馬の両親。
陽毬は親に捨てられ、「こどもブロイラー」で透明な存在になるところだったのを
晶馬に救われて家族になる。
冠葉は自分の両親の葬式の日に高倉家へ引き取られる。
回想にもでてくるように、実行犯と知られるまでは。どこにでもある普通の5人家族でした。
この家族が普通に幸せに暮らせる世界などどこにも存在しないのです。
そんな子供たちの生存戦略がこの物語なのです。
こどもブロイラーとは
『輪るピングドラム』に登場する児童施設である。
『いらない子供』、『選ばれなかった子供』を対象に児童が引き取られていく施設。
だがここで重要なのは、陽毬の言っていた「この世界は選ばれるか選ばれないか、選ばれないことは死ぬこと」というセリフの通り、晶馬や桃花のような「選んでくれる者」を一人も持たない子供は透明になり死んでいくということなのだ。
子どもブロイラーが何なのか具体的には説明されいません。実在する施設なのか、それとも、心理現象なのか。
何物にも慣れない透明な子どもたちになってしまうシステム。
誰からも関心を持たれないのは、居ないのと変わらない
あるのでもないのでもない
透明になるというのは誰にも気づかれず顧みられることのない存在になるって事だと思います。
透明になってしまった人間は砕かれガラス片のような存在になってしまう
これはガラスのような硬質的で冷たい人間になってしまう事の暗喩じゃないだろうか
割れたガラスは人を傷つけ血を流させる
最終話でもガラス片となりつつある冠葉のカケラで陽毬はボロボロになってたし
社会的にいてもいなくてもいい存在になるが正確だと思うけど
引用:
こどもブロイラーとは (コドモブロイラーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
輪るピングドラムとは (マワルピングドラムとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
「透明な存在」の元ネタは90年代 に実際あった事件に関連した言葉です。
さかきばらせいとですね。自分のことを透明な存在だという手紙を送り、当時の文学者や社会学者がこぞってそこのワードに注目して、分析していました。
誰にも選択されなければ透明な存在になるっていうのは、透明な存在に脱社会性人格をみた宮台真司の分析と近い 。
日本の学校はまさに子どもブロイラー?
子どもブロイラーが何なのか具体的には説明されてはいません。実在する施設なのか、それとも、心理現象なのか。
おそらく、誰からも愛されない、選ばれない存在になってしまうシステムのこと。
あるいは、標準化した均一教育によって没個性化した近代教育システムのことかもしれない。この作品の意図的には前者のことを意味していると思われますが。
誰かに愛される、選んで選んでもらうためには、「誰か」から脱する必要があるからだ。
誰もが持っているものには人は興味を持たないし、愛すこともない。
個性ある子供達を、社会を構成するレンガみたいな均質なパーツに変えちゃう、っていうウォーターズの左巻き思想の表れですね。
子どもの生存戦略って何なんだろう
これから社会で生きていくにはどうしたらいいだろうか。
社会からはじき出され、必要とされない子供たちは一体どうやって生きていくのだろうか。
社会は冷たいか?
全てが歪んで、それでいてとてもグロテスクで、大人たちが悪魔に見えたかもしれない。自分を痛めつける親。見て見ぬふりをする大人たち。子供に生存戦略など、そもそも選択肢として存在していないのかもしれない。
生存戦略とは愛を受け取ること。
愛されない。選ばれない。無視されるような透明の存在になってしまった子供たちの唯一の救済処置がピングドラムなのだろう。
それは同時に希望でもあり、絶望でもある。
現実にはピングドラムなど存在しないのだから…
罪は理不尽じゃなきゃね
陽毬の病気は実行犯の子どもへの罰だと言っている。
しかし、陽毬は実行犯である両親の本当の子供ではない。それ故に、理不尽で、気まぐれで。それが神様というやつらしい。
NHKにようこそ!の美咲ちゃんも言っていましたが、この世界は辛くて苦しいと答える人が過半数で、そんな世界を作った神様は悪者であるということですね。
地下鉄サリン事件について
『なぜピンドラでサリンを取り上げたのか』
サリン事件は1995年バブル時代に新興宗教のオウム真理教が起こした地下鉄のテロ事件のこと。
オウム信者(加害者)はなぜ事件を起こしたのか?
『愛を感じられない人々が愛を求めて宗教に入った』
バブルという日本が経済的に豊かな時代。
職と金に困らない、娯楽も溢れ、恋愛も盛ん、貧困や格差という社会問題が解消され、日本全体が活気に溢れ、すべてが手に入った時代。
しかし、それでも満たされない人々がいた。
幸せである筈の要素(学歴、職業、恋人、知識etc)を持っているにも関わらず、幸せを実感できない人。
現実の物では満たされない飢餓感、社会の人々から外れたような孤独感を感じていた彼らはその心を何かで埋めたいと考えた。
それが宗教だったのかもしれない。
ピンドラのテロ組織名は『KIGA(飢餓)』
物や金では満たされない、心の飢餓状態。つながりや安息による愛を実感するために集まった人々。透明な存在から色を得ようとした結果がサリン事件だったのだ。
誰かに、触れ向いてほしかった。透明な存在でなくなるための手段だったのだ。
人は愛に飢えている
人は愛に飢えている
しかし、無償で愛は与えられるべきではないと思う。
そもそも、愛って何ですか?
意外とわからない「愛」アホみたいに恋愛の歌って歌われてますけど、「愛」って何よ?
愛されるためにみんな頑張って。そうやって足掻くのが人生だろ?
ピングドラムとは命
ピングドラムとは何なのでしょうか。
第12話の最後の戦略で苹果の日記でないことはわかります。
それは命?あるいは運命。運命の至る場所とはつまり、人間の成れの果てが向かう場所。つまり、あの世を意味します。
輪るピングドラムつまり、輪る命。命が回る意味は本篇を見てください。
見た後は気持ちが落ち込むので注意
序盤はコミカルに見えて、後半はガンガン胸を突かれるような重たい話なので注意。
やるせない気持ちにさせてくるからこそ、やりきれない気分になる、なってしまう。そんな作品だと思いました
プライムビデオにウテナと一緒に登場う!見るべし見るべし!
アマプラで見るべきアニメですね。
電脳コイルもよろしく!