B! ゴロビシャ ネメシスの使い魔

テレビシリーズへのアンチテーゼとしてのOVA、劇場版

テレビシリーズへのアンチテーゼ

人気になったアニメ作品が映画化、OVA化される例は数多くあります。

しかし、最近のアニメは本編をそのままOVAや劇場版化させている傾向にあります。ある種焼き直しのような感じ。

 

しかし、せっかくのOVA、劇場版ですから、これまでとは違ったアプローチもできます。

テレビシリーズである程度人気が出ているのであれば、ある程度の売り上げは確実に保証できる。だからこそクリエイターが真に描きたいものを描ける。

劇場版ともなれば予算もテレビシリーズとは比べ物にならないぐらい使えますからね。

テレビシリーズとは全く異なったアンチテーゼとしての役割が持てるのがOVA、劇場版ということです。

それが、本来作家やクリエイターが描きたかった世界を最も描ける状態なのかもしれません。

 昔のアニメは少なくともそうでした。

機動戦艦ナデシコ

機動戦艦ナデシコBlu-ray BOX

劇場版機動戦艦ナデシコ

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主役はテンカワアキトから星野ルリにかわり、テレビシリーズから二年後の世界を描いた物語。

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「君の知っているテンカワアキトは、死んだ」

劇場版でのテンカワアキト

  ナデシコを降りた後、屋台ラーメン屋をはじめる。そのうちにユリカとの結婚を決意。彼女の父である御統コウイチロウをラーメンの味で納得させ、ようやく結婚。だが、新婚旅行中、「火星の継承者」に拉致されてしまい、ユリカと引き裂かれて生体実験の材料にされてしまう。その実験で味覚をはじめ感覚をほぼ失う。その後、ネルガルのシークレットサービスに救出されるも、ユリカの救出と復讐を誓い、ネルガルの協力のもと、ヒサゴプランにより建設されたコロニーを破壊していく。

築き上げてきたモノをすべてぶち壊す

1.アキトのアイデンティティーの獲得と、直後の喪失

「半端モノ」というのが、テレビ版アキトの、エリナ=ギンジョウ=ウォンからの評価でした。確かに、この言葉がテレビ版アキトのすべてを物語っていると思います。コックとしても中途半端なのに、パイロットもさせられてしまう。しかも、そのどちらの能力も専門には当然劣る。

 しかし、彼の本来の目指す道は料理人でした。白鳥ユキナをかくまうために戻った中華料理店では「10年早い。だが、100年早いヤツが大きい店構えている」という評価を受けて一応認められ、さらに、屋台ラーメンでの修行を経て、ユリカの父に認められます。料理の腕が彼のアイデンティティーならば、ここでようやくそれを手にしたことになります。つまり、自分は認められたのだ、ということです。

 ところが、その直後、「火星の継承者」の研究者の手によって、せっかく獲得したアイデンティティーを失うという不幸が彼を襲います。せっかく築き上げてきたモノ、しかも、テンカワ=アキトがテンカワ=アキトであるために必要な能力である味覚を失ってしまうのです。しかも、自分の過失でなしに。

 

2.愛する人との結婚と、直後の別離

「アキトはユリカが大好き」という無権代理行為と「ユリカはアキトが好き」という追認ではじめから有効なものとなった最終回。その後、おしかけ女房のような形でしたが、二人は同棲をはじめ、愛を深めあっていきました。そして、昼下がりの土手でのプロポーズ、ラーメン対決を経て、二人はようやく結ばれます。生活も仕事もこれから順風満帆という矢先に、不幸な事件でふたりは引き裂かれてしまいます。

劇場版のアキトの境遇は現実よりも悲惨か

 本来ナデシコで描きたかったものはおそらく劇場版のナデシコだと思います。テレビシリーズではシリアスながらも、ギャグあり、ハーレムものの要素が強くそれが世間的に受けたわけですが、本来クリエイターが描きたかった本質的なものではなかったのかもしれません。

 

ゲートキーパーズ

ナデシコと来たので、同じキャラクターデザインの後藤 圭二さんつながりでこの作品の紹介です。

概要

ゲートキーパーズ DVD-BOX

高度経済成長期の日本を舞台にインベーダーと呼ばれる謎の生命体と戦う少年少女を描く。

 

 OVAゲートキーパーズ21はテレビシリーズの続編

ゲートキーパーズ21

あまり評判は良くはありません。

しかし、私は評価しています。本来、クリエイターが伝えたかったことがより映し出されているからです。

 この作品もテレビシリーズを真っ向から否定するアンチテーゼ的な作品です。

テレビシリーズの主人公はなくなり、OVAではその娘が主人公。

全く前作とは毛色が違い、主人公も真逆の性格、作品の雰囲気も非常に暗いものとなっています。 

今だからこそ、この作品が描いたものがよくわかる。

前作の舞台は高度経済成長期の日本が舞台です。

それに対し、続編であるゲートキーパーズ21はそのタイトルにもあるとおり、21世紀の日本が舞台です。

その作風の違いが正に現代の世を表しているのです。

世界はより便利に、豊かになったはずなのに、人の疚しさ、醜さはいつの時代も変わらないのです。

そうであれば、希望に満ちた時代のほうが幾分マシだったのかもしれません。

新世紀エヴァンゲリオン

 

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に [DVD]

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

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 いわゆる旧劇場版。

そもそもな話テレビシリーズは非常に意味不明な終わり方をします。

簡単に話をまとめると、

他人から嫌われる恐怖に苛むシンジが、結局自分の世界は自分が作っていることに気づき、望めばどんな世界だってありえるということに気付くお話です。

つまり、世界は自分の心次第である、他人から嫌われる恐怖は誰しもが持っているもので、それを乗り越えてはじめて人間は幸せを手にすることができる、という感動的な話をまわりくどく説明してるのがアニメ最終話

 

となります。

 

新世紀エヴァンゲリオン劇場版

1995年秋から1996年春まで放送された同テレビアニメシリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』の第弐拾伍話と最終話をリメイクし、完全新作として上映されたものである。

 

第25話 Air 

全ての使徒を倒したNERVに対し、サードインパクト発動を目論むゼーレが戦略自衛隊(戦自)を使った武力占拠を開始する。施設が次々と破壊・占拠されていく中、シンジは戦自隊員に発見され殺されそうになるが、生きる意思を失くしていたシンジは抵抗すらしなかった。それをミサトが寸前で救出するが、移動中に銃撃に遭って負傷し、シンジにEVAで戦うよう言い残す。一方、廃人状態だったアスカは覚醒し、EVA弐号機で戦自の部隊を壊滅させるものの、ゼーレが送り込んだEVA量産機9体の襲撃を受ける。

第26話 まごころを、君に

シンジを乗せたEVA初号機を依代としてサードインパクトが始まる。これによって人類は個体の生命体としての姿を保てなくなり液化して崩れていき、その魂は「黒き月」に集められる。初号機はレイやカヲルの姿をとる巨人(第2使徒リリス)に取り込まれ、シンジはレイとカヲルに再会する。そこでシンジは人類が単体の生命となることを望まず、それぞれの個人がいる従来の世界を望む。

 

だから みんな、死んでしまえばいいのに…」「では、あなたは何故、ココにいるの?」「…ココにいても、いいの?

結局どちらの結末も主人公である「シンジ」自身が自らの存在意義を模索したことには変わりがないと思います。

アンチテーゼではないにしろ、表現自体はかなり違います。テレビシリーズはハッピーエンドのような終わり方ですが、劇場版はちょっと違います。

あれがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは私にはわかりません。

それは主人公であるシンジが決めることだからです。

るろうに剣心

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幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客、緋村剣心明治維新後は「不殺」(ころさず)を誓い、流浪人として全国を旅していた。神谷薫との出会いや、同じ激動の時代を生き抜いた宿敵達との戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく。

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編

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剣心の出生から不殺を誓うまでを描いている。 OVAは原作のギャグテイストを排除した徹底したシリアスな作風で、キャラデザも全くの別物。少年漫画テイストを大幅に削減しているため、技名を詠唱するような演出はカットされている。TVアニメでは描かれなかったような凄惨な描写も多い。

風景や生活描写や美術・演出の美しさ、BGM、静と動の使い分けに秀でたそのクオリティの高さは現在まで評価され続けている。

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 追憶編での剣心

 

テレビシリーズとは全く毛色が異なり、非常に暗く、シリアスな作品となっており、るろうに剣心というよりかは、それを元にしただけの全く別作品である。

アンチテーゼというわけではないですが、テレビシリーズとは明らかに作品自体が違う。

数多くの大河ドラマがあるが、その中でも群を抜いて完成度が高く、ここまでのものをアニメで表現してしまったのであるから、ドラマの立場がない。

 

14: 名無しさん@おーぷん 2014/05/30(金)08:22:38 id:DfSDZLeWS
追憶編の出来があまりにすごいから世界で日本史を学びたいという学生が増えたらしいな。世界では日本は日ロ戦争まで出てこないし、アメリカが開国するまでは原住民レベルだと思われていたから。

 

17: 名無しさん@おーぷん 2014/05/30(金)08:25:11 id:T4LLwOvbF
>>14
そういえばドイツの有名大学の教授が追憶編のDVDを教材に講習会やってる写真をブログにあっぷしてた

 

26: 名無しさん@おーぷん 2014/05/30(金)08:37:08 id:a9rSfksZD
>>14
ヲタクの外人と仕事で話す機会があったがるろうに剣心事態は全く興味がなくて追憶編限定で大好きって奴ばかりだった。
あくまで追憶編が時代劇のカテゴリーで評価されてるだけで
るろ剣が評価されてるってわけじゃなさそう。

 完璧すぎるアクション、ストーリー、演出。すべてにおいてここまで完成された作品は少ない。ぜひ、すべての人に見てほしい作品です。

星霧編

 

テレビシリーズのアンチテーゼ的にはこちらの方があっていると思います。

テレビシリーズとは結末が全く異なり、もう一つのるろうに剣心と言えます。

こちらも非常に素晴らしい作品です。私はこっちの結末のほうが好みです。

主人公は報われませんが、彼は人斬り。正義のためとは言え多くの者の幸せを奪ってきたのは事実です。

弱き者のために戦い続けた剣心がぼろぼろになる様は見るに堪えないかもしれませんが、それが人斬りの末路だとも言えます。

クリエイターは基本暗い

90年代のアニメはやけに暗かった。

00年代前半も同じかもしれない。

アニメが最も面白く、ただのエンタメ作品ではなかった時代。

みんな、情熱があって、理想があって、絶望していたあの時代。

 今は、情熱や理想すら持てぬ時代になった。だから、二度と素晴らしい作品は生まれない。そんな時代になってしまった。

ようこそ!名無し文学部へ
楽しんでいってください。