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【要約】グーグルのマインドフルネス革命 著者 サンガ編集部/編著

 

グーグルのマインドフルネス革命
 

グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス(付録:マインドフルネス実践ガイドCD)

著者
サンガ編集部/編著


要約
 

「マインドフルネス」とは、仏教の教えをベースにした瞑想法で、宗教性は排除して科学的な根拠を示しているのが特徴だ。そんなマインドフルネスが、いまやグーグル社員の「10人に1人」に実践され、インテルやナイキといった大手企業やハーバード大学などビジネススクールにも広がってきている。
こうした動きの背景には、「判断せずに、今ここに意識を向ける」マインドフルネスがもたらす、ストレス軽減、集中力・生産性アップ、創造性・チームワーク向上などの様々な効果がある。しかもそれらは、ハーバード大学スタンフォード大学といった一流大学の研究者によって実証が進んでいるという。

そこで本書では、グーグルでマインドフルネスプロジェクトを推進する人材開発部門のビル・ドウェイン氏へのインタビューをもとにその実践方法を解説。基本的なエクササイズから「ヴィジュアリゼーション」「リフレクション」などの手法、グーグルでおこった変化などが詳しく紹介され、マインドフルネスの決定版的一冊となっている。

瞑想は道具も必要なくいつでもどこでも行えることが魅力だが、本書では読者の実践を助ける、ナレーション付きのガイドCDも付属している。読後すぐに実践でき、マインドフルネスの効果を体感できるはずだ。瞑想を始めたが続かなかった…という方や、興味はあるがまだ実践に至っていない、という方はぜひご一読頂きたい。

要約

マインドフルネスとは何か?

「マインドフルネス」は、グーグルが取り組んでいる瞑想法として、世界的に注目されている。グーグル以外にも、インテルツイッター、ナイキ、マッキンゼー・アンド・カンパニーなど、有名企業が能力向上のトレーニングとして導入している。

「科学的な実証を伴っていること」は、欧米でマインドフルネスがメンタルケアのメソッドとして信頼を勝ち得ている一つの要因だ。それゆえ、欧米の企業では、社員が高度な仕事を達成するため、研修や福利厚生の一環として、マインドフルネスを広く取り入れているのだ。

グーグルでは2005年ごろから、瞑想のワークショップを社内で小規模に開催する動きがあった。その後、2007年にグーグル独自のマインドフルネスプログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(以下「SIY」)が立ち上がり、本格的にマインドフルネスの取り組みが始まった。

今やグーグルの5,000人以上の社員がマインドフルネスのトレーニングを受け、その数は世界のグーグル社員5万人の10人に1人である。グーグルで実践されているのは「SIY」だけでなく、マインドフルヨガ、アプリを使った短時間のマインドフルネスなど様々だ。

グーグルにおいて、ここまでマインドフルネス人口が増えたのは、ひとえに人材開発部門のビル・ドウェイン氏の働きによる。氏はマインドフルネスを「瞬間、瞬間、今という時間に気づくこと。好奇心や親切な心、思いやりの気持ちに満ちているもの」と定義する。

また、マインドフルネスの普及に最も貢献した研究者の一人であるマサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバットジン博士は、「瞬間瞬間の体験に対して、判断をしないで、意図的に注意を払うことによって実現される気づき」と述べている。

二人が述べているのは、マインドフルネスが、「今ここ」に注意を向けている状態であり、自分やまわりの人からの評価、判断、好き嫌いといった気持ちにとらわれず、今の思考や行動を観察して受け入れている状態、と言えるだろう。

それゆえ、マインドフルネスは「気合いを入れて取り組むもの」ではなく「日常生活のすべてにおいて、実践が可能なもの」だ。駅に向かって歩くときも、歯磨きをしているときも、マインドフルネスであることが可能である。

変化の速いビジネスの世界では、すべての社員が重いプレッシャーを背負い、本来の集中力を発揮するのが難しい状況にある。しかし、マインドフルネスによって、集中力や、創造性、同じ会社の仲間や顧客への優しい気持ちなどが実現されつつあるのだ。

マインドフルネスの科学的な仕組み

このような効果が生まれる理由を簡単に説明すると、わたしたちは神経質なサルの子孫であり、自分の命が脅かされることに対して敏感に反応するからだ。脅威を発見したら、即座に反応し、戦い、逃げるために最適化された心と身体を受け継いでいるのだ。

しかし、このスキルは現代の生活では役に立たないどころか、脳の「思考する部分」の機能を切ってしまう。そこで、意識のスポットライトを「今ここ」に戻すマインドフルネスのトレーニングが、こうした脳の古い機能を抑制し、新しい機能の開発を可能にするのである。

また、マインドフルネスは宗教性を排除している。仏教とマインドフルネスを比較してみると、マインドフルネスには宗祖、経典、戒律がない。さらに仏教においてもっとも重要なキーワードである「悟り・涅槃」といった言葉も、語られることがない。

つまり、仏教に比べてマインドフルネスはたいへんシンプルだ。マインドフルネスは、仏教からメソッド部分だけを切り出し、シンプルにしたことによって、様々な宗教を持つ人の集合体である企業という場所でも、多くの人が取り組めるものとなった。

実際、グーグルのカルチャーはマインドフルネスによって変わった。瞑想の取り組みを始めることによって、グーグル社員一人一人の心の状態や気持ちが変化し、会社というコミュニティーの中で、どのように自分自身を表現するか、といったことが変わったのである。

チームにおけるお互いの信頼関係も高まった。最近、グーグラーがよく使うのが「vulnerability脆弱性)」という言葉だ。脆弱であるということは、「周囲の人に素の自分を見せることを、自分自身が受け入れられる状態」である。

素の自分というのは、完壁ではない。しかし、自身が無意識に作っている高い壁を、できるだけ低くしていく努力によって、だんだんまわりの人に、素の自分を見てもらえるようになる。そのとき、あなたは脆弱だ。

しかし、自分をオープンにすれば、そこには信頼が生まれ、さらに相手がオープンになれば、より深い信頼関係が生まれる。わたしたちは、仕事をするとき、自分を抑え、自分を出さないことが重要だと思っているが、実は、お互いに本当の自分を出すことが重要なのである。

初心者のためのマインドフルネスガイダンス
グーグルの瞑想プログラムにはいろいろな種類があるが、大きく分けて二種類だ。一つは座って行う「フォーマルな取り組み」、もう一つは、日常生活の中で自分に意識を少しだけ向けて、マインドフルな時間を作る「インフォーマルな取り組み」である。

フォーマルな取り組みとしては、世界の33ヶ所のオフィスで毎日瞑想プログラムが実践され,
またリトリート(仕事や家庭を離れた環境で、自分自身を見つめ直すこと)も行われている。これは一日だけのこともあるし、数週間にわたって行われる場合もある。

一方、インフォーマルな取り組みとしては、日々の会議の冒頭に簡単に実践できる短い瞑想プログラムがある。また、グーグル本社には瞑想スペースが31ヶ所あり、社員は「ヘッドスペース」というスマートフォンのアプリを使って、日常的に瞑想に取り組んでいる。

ここでは、ビル・ドウェイン氏による初心者のためのマインドフルネスガイダンスを紹介する。なお参加者からは、「判断しない中立的な体験だった」「ハードディスクのデフラグのようだった」といった感想があがっている。

(1)座って行うマインドフルネスプラクテイス

 

パート1:身体に気づくプラクティス
まず、リラックスした状態で椅子に座り、旗を思い浮かべる。次に、自分の意識のスポットライトを、あなたの身体に向けそっと目を閉じる。頭の中にいろいろな考えごとが浮かんできたのではないだろうか。

意識が離れていることに気付いたら、もう一度、意識のスポットライトを、椅子の上の身体の物理的な感覚に戻す。痛みなどの不愉快な感覚が起きても、その感覚に興味を持ち、どんな感覚なのか観察してみよう。

 

パート2:呼吸に気づくプラクティス
次に、鼻でも胸でもお腹でも、呼吸を感じやすい場所を見つけ、しばらくの間呼吸に意識を向けて、ただ呼吸を観察する。意識が呼吸を離れ、考えごとをしたりし始めたら、もう一度今この瞬間に意識を戻す。

 

パート3:思いやりの心を育むプラクティス
今日あなたが出会った人の中で、楽しい会話をした人を、思い浮かべよう。今日いなければ、昨日、一昨日とさかのぼって構わない。その人を思い浮かべたら、心の中で次の言葉を言ってみよう。そしてそっと目を開けてほしい。

「この人は心と身体を持っている。わたしと同じです。この人には気持ちや感情、考えがある。わたしと同じです。この人は悲しんだり、怒ったり、混乱したりすることがある。わたしと同じです。この人は肉体的、心理的な苦しみを経験している。わたしと同じです。この人は喜び、幸せ、愛を経験している。わたしと同じです。この人は幸せになりたいと思っている。わたしと同じです。この人が幸せでありますように」

 

(2)日常生活の中で気軽に取り組むマインドフルネス

まず、手元に一時停止のシンボルが書かれたシールを用意して、スマートフォンやノートパソコンなど、よく使うものに貼る。これはちょっとしたリマインダーだ。「待つ時間」が発生したときには、このシールを見てただマインドフルに呼吸をしてほしい。

例えば、スマートフォンをチェックしたくなったとき、その代わりにマインドフルな呼吸をしてみよう。そしてATMで操作ができなくて苦労している人が目の前にいるとき、優しい気持ちで微笑んでみよう。

働き方と生き方の革命

グーグルではマインドフルネスによって、働き方と生き方の革命が起き始めている。それは一人一人が先入観や偏見にとらわれず、注意を向け、心を開くようになったことによって、静かにじわじわと起きている革命だ。

マインドフルネスを実践すると、周囲の人たちと温かい心で共感し合うことができる。その想いは周りへと伝わり、この世界は穏やかでクリエイティビティにあふれたものになるだろう。だが、マインドフルネスを頭で理解しただけで、実際はやらない人も多いのが実状だ。

その理由の一つは、「こんな簡単な方法で効果が生まれるなんて信じられない」という気持ちだ。しかしマインドフルネスは、グーグルをはじめ、多数の企業や病院で成果が出ている技法で、特殊な人だけが効果を得られるものではない。

また、いつも何かをすることに慣れているわたしたちは、ただ自分自身に意識を向けることが苦手である。そのように感じている場合には、例えば朝起きてすぐや夜寝る直前の5分といった、空白の時間を当てるのがよいだろう。自然に習慣化していくことができるはずだ。

瞑想をしてみると、自分自身や周りで起きていることについて、これまでとは異なった捉え方ができるようになる。すると、人生が変わり、まわりの世界が変化していく。まずは今、ご自身が感じていることに気づいてみよう。そしてマインドフルネスを試してほしい。

 

 

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