著作権は誰のため?
小説や音楽の著作権、欧米に合わせ70年に延長 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
政府が小説や音楽などの著作権を保護する期間を原則20年延長し、「作者の死後70年」とすることが分かった。
11か国による新たな環太平洋経済連携協定(TPP)では、もとのTPPで決めた著作権の延長を棚上げすることになったが、日本は欧米と制度をそろえることにした。
米国を含む12か国が2016年2月に正式合意したTPPでは、映画や音楽の制作に強い米国の要求に応じて、保護期間を米国並みの「死後70年以上」にすることになった。日本は著作権法を改正し、TPP発効を条件に保護期間を70年とした。しかし、TPPが米国離脱で未発効となり、保護期間は50年のままとなっている。
著作権法が20年延長されるそうです。
最悪ですね。TPPからアメリカが離脱することとなり、現行の50年で踏みとどまってくれると期待したのですが、案の定アメリカと同じ70年に延長されるそうです。
遺憾の意ですよ。本当に。
著作権法の法目的とは?
(目的)
第1条
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権者の保護を図るのは当然でしょう。しかし、70年って長すぎませんか?
はっきり言って50年でも長いぐらいです。
条文から著作権法の目的を「文化の発展に寄与」することとし、「著作物等の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図る」ことはその目的達成のための手段として規定していると解釈できます。
目的と手段があまりにも剥離しているではありませんか。
実用新案権は出願の日から10年間が保護期間となります。
特許権は出願の日から20年間(医薬などに限り最大5年の延長可能)となります。
実用新案権と比べると著作権はその7倍ですよ?
おかしいとは思いませんか?
それだけ長い間保護(独占)をして文化が発展するとは考えにくいですよね。
出典: コーテック国際特許事務所
表現は有限である
残念ながら、人間が心地よいと思う表現は限られています。
無限ではありません。
法人であれば公表から70年。個人の場合は死後70年保護されるわけです。
70年もの間、誰かの手の中で独占的に支配されるわけです。
これが文化の発展に寄与するもの?
70年というと他者より少し遅く表現しただけで一生使えなくなってしまう期間ですよ。
こんなものが文化の発展に寄与するわけがない。
アメリカの著作権法は悪法なのです。それと合わせるということは非常に危険なことであると私は思います。
ミッキーマウス保護法
統一されることの危険性
今日ではグローバル化により統一法的なものが生まれ、グローバルスタンダードとなっていますが、それは非常に危険なことであり、統一政府的なやり方は権力の暴走を止めることが不可能になります。
(グローバル化というか、アメリカナイゼーション)
まして、特許や実用新案権、商標等の産業に関わる法と違い、著作権は文化に関わる法律なのですから、統一的なあり方は文化を破壊してひいては民族のアイデンティティをも揺るがす事態になります。
カントの永久平和のために
お互いがお互いを監視しあい平和状態を維持するべきであるとの考え方です。
国家をひとつの人格Personとして捉え、人間も同様に人格はそれ自体が目的であって、誰かに所有されることがあってはならない。
だから、国家が国家を併合することがあってはならないという考えであります。
アメリカナイゼーションされていくことは歯止めがかからず、アメリカのやりたいようにされるということです。
日本では「ディズニーパレード」が放送されディズニーパークが人気を博しています。
それ自体は悪いことではありませんが、我々の持つ独自の文化が全てアメリカ文化によって駆逐されることはそれすなわち、日本のアイデンティティが失われるということです。
日本には日本のやり方があり、文化があるのです。その文化に直結する著作物をさらに20年間も保護(独占)するのは本当に文化の発展に寄与しているのかということを考えなければならないでしょう。
関連