Zzzって何?
Zzz知らない人はいないであろうこの言葉。
漫画やイラストでよく書かれますよね。
これはいびきを表すオノマトペです。
オノマトペって何?
物音や物事の様子、あるいは動作、感情などを、感覚的に文字で書き表すレトリック(修辞技法)として、擬音語、擬態語というものがあります。
これが、いわゆるオノマトペと呼ばれるもので、ただ説明の言葉を沢山並べるより生き生きと、適切に表現できる効果が生まれます。
宮沢賢治の小説によく登場します。
「クラムボンは死んだよ」この言葉を聞いて懐かしいと思う人もいるかもしれません。
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
小学生頃に教わっている人が大半だと思いますが、忘れている人向けにオノマトペの説明です。
さまざまな者の声や音であったり、たたずまい、動き、気持ちなどを端的に表現する手段として用いられます。
犬が吼える時のわんわん、恥じらいを表すもじもじなど日本人は特に多くのオノマトペを有しています。
日本語は他の国の言葉に比べてオノマトペの種類が多く、日常の会話でもちょっとした文章でも、頻繁に耳にし、目に入ってきます。
日本人はかなり古くからオノマトペを使って表現を豊かにしていたようで、古事記(712年)や万葉集(759年頃)にもオノマトペが見られます。
こをろこをろという音で、国が生み出されようとする音を表現したり(現代でいうところのカラカラという音になります)万葉集では、ほどろほどろという表現で雪がはらはら舞い降りる様を表しています。
淡雪の ほどろほどろに 降り敷けば 平城の京し 思ほゆるかも
(読み:あわゆきの ほどろほどろに ふりしけば ならのみやこし おもほゆるかも)
あわ雪がはらはらと散り落ちて、あたり一面に薄く積もっている、平城京のことを思い出すなあ・・・といった意味の歌です。
大伴旅人が大宰府にいる時に都を偲んだ望郷の歌ですが、ほどろほどろ、という音が入るだけで雪の様子の情景がよく浮かびます。
それではZzzはなぜ、寝息のオノマトペとされているのか?
Zzzの起源は?
zzzzの羅列は少なくとも1918年ごろにいびき音の表記として成立していたようです。
zがアルファベットであることからもお気づきのように、英語圏からやってきた表現になります。英和辞典にも最後のページにzzz・z-z-z・ZZZの記載があり「グーグー(いびきの音)ブンブン(羽虫やのこぎりの音)」(出典元・ジーニアス英和辞典)
アメリカではzを大文字にして「Z」とひとつ表記することで眠りに落ちていることを示す漫画表現が使われるようになり、慣習となっていったようです。
そしてアメリカ漫画が他国で普及すると共にこのZといえば眠りに繋がっているという感覚も共有されていったのではないかと考えられています。
分かりやすい例としてはアメリカの漫画家チャールズ・M・シュルツのPeanuts、日本ではスヌーピーとしておなじみのあの作品はおおきな「Z」を描いてよく睡眠の表現としています。
今では広く知られる事となったZzz表現ですが、歴史があるんですね。
Zzzの発音
「ZZZ」の発音はズィーズィーズィーです。
羊を数えると寝やすいと良く言われていますが、あれは羊を表す英語のsheepが呼吸音(ジィープ)に似ていることから、羊を数えるとなれると言われる理由です。
日本語で羊は1匹なんて言っても眠れませんよ。
日本語だと睡眠時のオノマトペは「スヤスヤ」か「ぐーぐー」ですね。
参考文献 日々の会話が華やぐ大和言葉/大島 資生 (監修), 山下 景子