B! ゴロビシャ ネメシスの使い魔

いらすとやの潜在能力(記号としての萌え要素とデータベース消費)

コミュニケーションマークとしての萌え

このウィキペたんの図像は、「猫耳」「メイド服」「尻尾」といった視覚的な記号(萌え要素)によって構成されている。

代表的な萌えの象徴は猫耳、メイド服、女の子であり、これらの要素を備えていれば、萌えキャラと認識できる。

例えば、このキャラクター

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でじこ

代表的な萌え要素を詰め込んだキャラクター

 

これは認識論の話であり、我々が近くする物はすべて表象コードとして表すことが可能である。

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我々の認識上でじこはこのように認識されている。

 我々の周囲を取り巻く日常世界の認識さえ、コードを含んでいると主張する研究者もいる。Fredric Jamesonは、‘全ての認識システムが、本来的に言語である’と宣言している(Jameson 1972, 152)デリダが言っているように、認識は常に表現である。

‘認識は、世界を心の中で再現できる類像的記号に、コード化することに依っている。

しかし、明確な同一性の力は、巨大である。我々は“心の目”で見た世界をコード化された絵でなく、世界それ自身だと思いたがる’(Nichols 1981, 11-12)ゲシュタルト心理学者 -特に、マックス・ウェルトハイマー(Max Wertheimer 1880-1943)、ウォルフガング・ケーラー(Wolfgang Kohler 1887-1967)、そしてクルツ・コフカ(Kurt Koffka 1886-1941)- によれば、人間の視覚的認識にはある普遍的特徴があり、それは記号論的用語では認識のコードと理解することができる。

認識における‘図(figure)’と‘地(ground)’という概念は、このグループの心理学者に依るものである。視覚的イメージに向かい合うと、我々の関心が‘背景’(または‘地’)に追いやったものから支配的な形状(明確な輪郭を持った‘図’)を分離する傾向があるように思われる。

初心者のための記号論:コード

 

萌え記号の例

例えばこんな絵。このキャラクターは世間一般で認知されている萌えキャラの要素を組み合わせてできたキャラクターであるため、多くの人は萌え絵であると認識するだろう。

なぜ、萌え絵として認識できるのかというと我々は画像を表象コードに分解し、要素別に分類してるためである。基本的に猫耳やメイド服、女の子という属性を備えていればなんでも萌え絵に見えるはずである。

試しにいらすとやの絵で萌えを表現してみよう

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こんな感じになる。

萌え絵に見えるはず…

ただのコスプレしたお姉さんに見えるかもしれないが、要素属性としては間違いなく典型的な萌え絵ということになる。

データベース消費

でじこ」は背景に物語を持つことなく出現したにもかかわらず、その後人気が出てアニメ化・ゲーム化などのメディアミックス展開がおこり、あとづけで背景となる物語を持つことになった。デ・ジ・キャラットというキャラクターは「アホ毛」や「」のような萌え要素の組み合わせによって成立しており、デ・ジ・キャラットは「萌え要素のデータベース」を消費するという形で受容されたことになる

このように、自分の好む萌え要素という記号に対してあたかも薬物依存者のように脊髄反射的な反応を示すようになったオタクの変容を(あるいはより一般に他者の欲望を媒介することなく自己完結的な欲求充足回路しか持たなくなる変容を)東浩紀アレクサンドル・コジェーヴの表現を借りて動物化と呼んでいる

デ・ジ・キャラットのほかにもびんちょうタンのように、データベース消費においては背景に物語を持つことなく誕生したキャラクターがあとづけで物語を持ったり二次創作の対象となることがあり、人間でないものをイメージ化して美少女をデザインする試みは萌え擬人化と呼ばれる

2007年に発売された初音ミクも、それ自体は音声合成DTMソフトのイメージキャラクターであり物語を持たないが、そのキャラクター性の高さゆえに多数の二次創作を引き起こし東浩紀自身もその消費のされ方を「データベース消費そのもの」と述べている

初音ミクは主に動画共有サイトニコニコ動画を拠点としてブレイクしたが、大量のMADムービー(映像の断片の継ぎ接ぎで作られた動画)で溢れるニコニコ動画という空間はまさにデータベース消費という形態が定着したことによって出現した存在だともいえる。

人々はデータベースに紐付けられた要素を消費することで娯楽に変えている。

だとすれば、このように膨大なデータベースを持つ「いらすとや」が独自の世界観を持ち、各キャラクターが自立性を持ち始めることも容易に考えられる。

現在では、見た目上のキャラ付けされておらず、データベースとしては不完全であるため、こういった現象は起こりにくいものと考えられるが、もし、詳細な説明情報を与えればそのミームは急速に広がり、消費者によって独自の世界観が構築されていくことになるだろう。

 

 

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