人類の祖先が大幅に減少したと科学者が指摘*
ゲノム解析により、80万年前の人類の繁殖能力を持つ個体が約1,300人にまで減少したことが明らかに。
ハンナ・デヴリン科学特派員
初期の人類の祖先は、80万年から90万年前に進化の「ボトルネック」を経験し、激減したと科学者たちが示唆しています。3,000人以上の現代人のゲノム解析の結果、祖先の総人口が約117,000年間で約1,280人まで減少したことが示されました。極端な気候変動が、この大幅な人口減少の原因であった可能性が考えられます。
「我々の解析から得られた数字は、現在絶滅の危機にある種の数と一致しています」とローマのサピエンツァ大学のジョルジオ・マンツィ教授は述べています。彼と彼の研究チームは、このボトルネックが新種「ホモ・ハイデルベルゲンシス」の出現を促した可能性があると指摘しています。
「私たちが生き延びられたのは運の良さで、小さな集団で新しい種が進化することは進化生物学で知られています」とマンツィ教授は語ります。一方、ロンドンの自然史博物館のクリス・ストリンガー教授は、「驚異的な時代を乗り越えたのは驚きです。小さな人口で、一つの気候変動や伝染病、火山噴火だけで絶滅してしまう可能性がありました」とコメントしています。
この人口減少の期間は、氷河の形成や海水温度の低下、アフリカとユーラシアの干ばつなど、地球の気候が大きく変わった時期と一致しているようです。研究チームは、この時期が化石記録においても比較的情報が乏しい時期と一致しているとも指摘しています。
しかし、ストリンガー教授はボトルネックが全世界的なものではなく、一部地域に限定されていた可能性が高いとも述べています。
この研究では、3,154人のゲノムが分析され、それにより特定の遺伝子が最初に現れた時期を推定することができます。解析の結果、アフリカの集団ではボトルネックの証拠が見られましたが、非アフリカの集団では弱い信号しか検出されませんでした。これは、アフリカ以外の地域での人類の過去のボトルネックが、アフリカからの移動の際に隠された可能性があるからです。
この時期は、ネアンデルタール人やデニソワ人などの古代の人類が地球上に存在したとされる時期と一致しています。科学者たちは、これらの古代の人々の遺伝子にも同じボトルネックの証拠があるか調査中です。
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